毛細血管拡張症とは?毛細血管拡張症の原因と治療方法について

血管の1つである毛細血管がひろがってしまう、毛細血管拡張症(もうさいけっかんかくちょうしょう)について紹介します。




毛細血管拡張症とは

もしも、人間ひとり分の血管すべての長さをつなげたとすると、9万キロメートル以上の長さになります。これは地球の赤道上を2周する長さよりも大きいです。人間の身体にはそれだけの長さの血管が、縦横無尽に張りめぐらされています。


血液は、この長さの血管のすみずみまで行き渡り、人間が生きていくための酸素や栄養分を届けています。

まず心臓から送り出され、大動脈を通ります。大動脈は動脈へと枝分かれし、動脈はより細い動脈へと枝分かれしていきます。最後には直径約7~10マイクロメートルの「毛細血管」となります。

上皮細胞(内皮細胞)と呼ばれる細胞が、毛細血管の血管壁に接続されていて、極細の毛細血管を流れる血液は、それらの細胞に酸素や栄養素を送り込み、細胞からの老廃物を受け取って、静脈へと流れていきます。静脈は何本かずつまとまって、次第に太い静脈となり、心臓へと戻っていきます。

血管や毛細血管は、自律神経のはたらきによって、拡張したり収縮したりすることができます。それによって、血液の流れる量や流れの速さをコントロールしています。血液の成分の中でおもに栄養や酸素を運ぶ役目を担うのが「赤血球」です。赤血球は「ヘモグロビン」という赤い色素をもっていて、血液が赤くみえるのはこのヘモグロビンの色素のせいです。

肌の一番外側にある角質と表皮には、毛細血管がありません。肌の奥の真皮には毛細血管があり、真皮の毛細血管を流れる血液の色が見えてしまうことがあります。

例えば、唇は表皮の厚さが非常に薄いところなので、毛細血管を流れる血液の赤さが目立つ部分です。

また、頬の部分は毛細血管が多く張りめぐらされているところなので、もともと肌の赤みが目立ちやすくなっています。間違ったスキンケアなどによって頬の表皮が薄くなってしまうと、頬の肌の奥の真皮の毛細血管を流れる血液の赤い色が、ちょっとしたことで目立ってしまうのです。

気温の変化や緊張すると顔が赤くなりやすい

冬になって寒くなると、屋外の気温が下がります。人間がそのような環境に置かれると、体温が下がってしまう可能性があるので、それを防ぐために、筋肉を緊張させたり、脂肪を燃やしたり血管を収縮させて、血液の流れる速さを大きくしようとするはたらきがあります。
そこで、寒い屋外から、暖房が効いた温かい部屋に入ると、血管を拡張させて、血液の流れの速さを小さくさせようとします。顔の中でも毛細血管が密集している頬の部分は、毛細血管の拡張に伴い、肌の赤みが目立つ部分となります。

多くの人の前でスピーチするときなど、心理的な緊張があるときに、自律神経のはたらきによって毛細血管が拡張することがあります。怒りを感じて興奮しているときなども同様です。お酒を飲んで顔が赤くなる場合も、毛細血管が拡張している状態です。

毛細血管拡張症とは?

普通、気温の変化、心理的な緊張、飲酒などで毛細血管が拡張しても、時間がたてばやがてもとの毛細血管に戻り、顔の赤みは消えます。

拡張した毛細血管が元に戻らなくなってしまう症状を、毛細血管拡張症(もうさいけっかんかくちょうしょう)といいます。

血中酸素不足やホルモンバランスなどの全身性要因、化粧品や薬品などの化学物質による要因、細菌などの感染による要因、紫外線の影響、ステロイドの影響、手術や放射線治療後の後遺症の影響など、さまざまな要因が考えられます。
毛細血管の拡張が元に戻らなかったり、血流が増加しても元に戻らなくなってしまった場合は、毛細血管拡張症としての治療が必要です。

毛細血管拡張症の症状

毛細血管拡張症は、症状から4つのタイプに分類されています。ただし、これは欧米人の赤ら顔における毛細血管拡張症の分類です。

血管がまっすぐに見える単純タイプ

1つめは「単純タイプ」といわれていて、英語では”simple type”といいます。

「線状タイプ」(linear type)と表現されることもあります。
赤や青の血管がまっすぐに見られるタイプで、模様に枝分かれはなく、太さや長さはさまざまです。血管のあたりが盛り上がったりはしません。年齢を重ねると鼻や頬に多くみられるようになります。

血管が枝分かれしている樹の枝状タイプ

2つめは「樹の枝状タイプ」といわれていて、英語では”arborizing type”といいます。
「単純タイプ」に枝分かれがついたものです。枝分かれをがあるという点以外は線状タイプとほぼ同じです。

赤みがクモの巣のようにみえるクモ状タイプ

3つめは「クモ状タイプ」といわれていて、英語では”spider type”といいます。

比較的めずらしい症状です。赤みの中心になっているところがあり、周囲が放射状に枝分かれしていくようなかたちで見られます。中心になっている部分は少し暗い色であり、周囲に放射状に枝分かれしていく部分の血管とその間はピンク色です。中心からの放射状の枝分かれは特定の方向への偏りはなく、360度のあらゆる方向に広がります。クモ状血管腫とも言われています。

頬にこの赤みがみられる場合、赤みの出ている血管の裏側にある動脈とつながっていることがあります。その場合は、心臓の鼓動とともにリズミカルに収縮したり弛緩したりすることがあります。

年齢が若くても症状がみられることがあり、また、女性の場合、出産をきっかけに出現することがあるので、女性ホルモンであるエストロゲンとの関連が疑われています。
ただし、この顔の赤みの裏には、心臓病や肝臓病が隠れていることもあるので、注意が必要です。

赤みがふくらんでみえる丘疹タイプ

4つめは「丘疹タイプ」といわれていて、英語では”papular type”といいます。

直径1ミリメートル以上の赤い斑点ができて、大きいときには直径1センチメートルになってしまうこともあります。赤い斑点は肌の表面から少し盛り上がっているようすが確認できます。1つだけ赤い斑点ができることもあれば、何個かまとめて赤い斑点が現れることもあります。胸やお腹、背中にみられることが多く、老人性血管腫ともいわれています。

実はこれら4つのタイプに分類された毛細血管拡張症には、日本で「赤ら顔」といわれているものが含まれていません。この「赤ら顔」のタイプを5つめとすることがあります。

日本人の赤ら顔は紅斑タイプの毛細血管拡張症が多い

5つめは日本で「赤ら顔」といわれるもので、「紅斑タイプ」に分類されます。英語では”erythematous type”といいます。

淡い肌の赤みが続いていて、周囲の気温の変化により、肌の赤みが増くなったり弱くなったりします。他のタイプのように、血管の1本1本がはっきりと見えるわけではなく、鼻や、鼻の周り、頬に赤みが出て治まりません。

皮膚科で診察を受けても、紅斑タイプの毛細血管拡張症として診断されず、脂漏性皮膚炎と診断されてしまう場合があります。この場合、処方された薬に効果がありません。

とくに鼻に赤みがある場合は、酒さ(しゅさ)と診断されてしまう場合もあります。本当に酒さで、酒さが原因で毛細血管の拡張が起こっているのならば、酒さの治療が功を奏すのですが、毛細血管拡張症で、酒さではない場合、酒さ対策の薬では効果がありません。

若い人でも、毛細血管拡張症を発症していることもあり、20歳くらいから症状がでる場合もあります。

毛細血管拡張症の原因

毛細血管拡張症を引き起こす原因はたくさんあります。そこで、毛細血管拡張症の原因を分類すると、おおまかに5つに分けることができます。

1つめは「先天的疾患」と言われ、遺伝的要素などによって、生まれつき血管や毛細血管に何らかの異常があり、それが原因となって、毛細血管拡張症が発症したものです。

2つめは後天性疾患などから二次的に毛細血管拡張症になったもので、おもに膠原病から二次的に毛細血管拡張症を発症します。

3つめは、先に他の皮膚症状があり、それによって毛細血管の拡張が起こっている場合です。酒さや静脈瘤などが発端になり、毛細血管拡張症の症状が見られることもあります。

4つめはホルモン由来の毛細血管拡張症です。女性で出産後に毛細血管拡張症になった場合は、女性ホルモンであるエストロゲンがかかわっています。

5つめは身体的損傷があった場合です。身近なところでは紫外線による皮膚炎が挙げられます。ケガをして手術を受け、縫合した箇所にみられることもあります。凍傷や熱傷も身体的損傷に含まれます。

他の病気や皮膚疾患などの原因により、毛細血管拡張症になっている場合は、もとになっている他の病気の治療が、毛細血管拡張症や赤ら顔の解消につながります。

毛細血管拡張症の治療方法


原因が他の病気によるものではない場合、直接的に肌の赤みを消す治療方法としては、レーザーでの治療が有効です。これらは美容皮膚科などのクリニックで受けることができます。

毛細血管拡張症の治療はレーザーも有効

皮膚の表面に、糸状の血管が見える場合には、血管を流れる血液の、赤いヘモグロビン色素にだけ反応するレーザーを使って、正常な皮膚へダメージを与えることなく赤みを取り除きます。

肌の赤みが、血液のめぐりの悪化によって起きている場合には、ダイオードレーザーを使って、血行を改善する治療を行います。
フォトフェイシャルという、強力な可視光線をコンピューターで制御しながら照射して、治療を行うこともできます。レーザーよりも安全性が高いといわれています。

太めの血管が赤ら顔の原因となっている場合は、レーザー治療の効果はあまり期待できません。そんな場合は、硬化療法を行います。静脈瘤に対する治療と同様の方法になります。
血管に硬化剤を注射して、血栓を形成させ、血管の内側をくっつけてしまいます。

毛細血管拡張症には、いろいろな原因や症状があります。毛細血管拡張症の症状に合わせて、いろいろな治療の方法を医師が組み合わせることになります。

赤ら顔の治療薬で毛細血管が拡張することがあります


ステロイドとは、かゆみや赤みなどの炎症やアレルギー症状、アトピー性皮膚炎に対して処方される塗り薬です。
ステロイドには、免疫を抑制する作用があり、肌の炎症を抑えるはたらきがあります。

ですが、ステロイドは炎症を起こしている部分以外の、身体のなかの正常な細胞にもはたらいてしまいます。そのためステロイドは、副作用が出やすい薬です。

ステロイドは炎症を抑えるために一時的に使うものです。長期間ステロイドを使い続けてしまうと、副作用で赤ら顔になってしまう場合もあります。
ステロイドの副作用で、皮膚の萎縮が起きることがあります。これは皮膚が薄くなってしまい、傷つきやすくなった状態です。

皮膚の萎縮が起きてしまうと、エラスチンやコラーゲンが不足してしまい、肌の弾力を保つことができなくなります。肌のハリが失われ、肌のたるみやシワなどが目立つようになります。

皮膚が薄くなってしまうと、血管が透けてしまうので、顔の赤みが増してしまいます。
皮膚が薄くなるだけでなく、血管壁がもろくなって出血しやすくなったりすることもあります。

ステロイドの副作用で、毛細血管が拡張してしまう場合があります。毛細血管が拡張することで、肌に赤みが目立つようになり、赤ら顔の症状となります。
これらの赤ら顔の症状は、本来「酒さ(しゅさ)」と呼ばれるものですが、ステロイドによって引き起こされたものは「酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)」と呼ばれます。

赤ら顔の治療では、ステロイドだけではなく、ほかの薬も処方されることがあります。

皮膚科で処方されるステロイド以外の薬にも、効果のほかに副作用を持つものがあります。
赤ら顔の治療薬でも、副作用が出る場合があります。

赤ら顔の治療で使われる「ミノマイシン」という薬は、めまいや吐き気、頭痛を伴う可能性があります。
「アゼライン酸ゲル」という薬は、かゆみが出たり、赤みが強くなる場合もあります。
赤ら顔の治療で使われる「プロトピック」は、使い始めて1週間くらいは、顔の火照りやかゆみを訴える人が多いです。

プロトピックは、顔の炎症が強いほど、火照りや痒みがひどくなるという特徴があります。

赤ら顔治療の一例として、まずは炎症を抑えるためにステロイドを一時的に使って、その後プロトピックに切り替えることがあります。
プロトピックを塗っても火照りや痒みが出なくなったら、皮膚に炎症がなくなり、もうプロトピックが皮膚に吸収されなくなったということです。

医師よりこれらの薬を処方されて使用するときは、皮膚科で定期的に経過観察してもらって、皮膚の状態に応じた治療を行うことが重要です。

赤ら顔に効果のある漢方薬


赤ら顔に効果のある漢方薬は、何種類もあります。

ここでは、「身体の興奮を抑える(整える)漢方薬」と、「血流をよくする漢方薬」を紹介します。

緊張やホルモンバランスの乱れによる赤みには、身体の興奮を抑える(整える)漢方薬

興奮するとすぐ顔が赤くなってしまう人は、身体の興奮を抑える漢方薬が良いです。

これらの漢方薬は、ホルモンバランスが乱れた状態にも効果的なので、更年期障害のほてりによる顔の赤みを改善します。

上半身は熱くなっているのに、手先足先が冷たくなってしまうような血行不良の症状にも向いています。

身体の興奮を抑える漢方薬は、

・知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
・天王補心丹(てんのうほしんたん)

です。

冷え性や寒暖差による赤みには、血流をよくする漢方薬

寒暖差で赤ら顔になったり、指先、つま先が冷たい冷え性になったりしている場合、血液がドロドロに濁っていたり、血行が悪くなっていることが考えられます。

血行不良を回避しようとして、顔の肌の奥の毛細血管が拡張して、赤ら顔になってしまうのです。

このような血液の流れを改善する漢方薬は、

・加味逍遥散(かみしょうようさん)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

です。血液のめぐりを改善して身体を温め、顔のほてりを冷まします。

毛細血管拡張症の治療は保険適用?

毛細血管拡張症に!市販の化粧水やサプリなども

顔の赤みに悩んでいる場合、赤ら顔の原因がいくつか組み合わさっていることがあります。そんな肌の状態で、普通肌用の化粧水をつけてしまうと、顔の赤みがさらに悪化してしまいます。

気温や体温などが原因で、毛細血管が広がってしまう赤ら顔には、毛細血管の拡張をケアする成分が配合されているものがいいでしょう。
毛細血管にアプローチする成分として、海洋性エキス(プランクトンエキス)やビタミンKがあげられます。
赤ら顔専用化粧水も販売されています。


これらのスキンケアアイテムを選ぶ場合は、毛細血管の広がりにアプローチする成分を配合しているかどうかも選ぶときのポイントになります。

<血管にアプローチする成分>

  • プランクトンエキス・・血管弾性を調整する
  • ビタミンK・・血管に詰まった栓(=血栓)を取り除き、肌の毛細血管の血流をスムーズにさせる
  • ショウガ根茎エキス・・血行促進、保湿、エイジングケアにも優れた成分
  • センキュウ・・血行促進、肌荒れなどの消炎、鎮静効果




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